「家は大きいほどよい」・・・建設の技術や職人の手腕が拮抗していた時代は,

屋敷の大きさが社会的なステータスを表していたこともありましたが,今は
そういう時世ではなくなってきました.
もちろん,核家族化や敷地の大きさによることがありますが,どちらかといえば
家に性能や質を求める時代になったのだと思います.ハウスメーカーの造る
商品化住宅ではこの性能の部分がクローズアップされ,高断熱・高気密・計画換気に
よる省エネルギー仕様が恐ろしい勢いで普及しつつあります.

しかし一方で,技術的選択肢の多様化や職人の腕のばらつきなどを鑑みると,
たとえ高性能を謳っていても,現場で実際に造られるものに現場作業員や
職人の良心やクラフトマンシップが不在であれば,期待される性能は
発揮し得ないことは今も昔も変わりません.

また,単に製品を寄せ集めるような設計と,それに当てられる時間の短さ,
プランタイプを組み合わせるだけの設計作業の短絡化は購入時点では不可視で
あっても,設計の質が低かったことは時間が経つにつれ確実に顕れてきます.
家具を置いたら狭くなった,家族が増えたり減ったりすることに順応できない,
使わない部屋が使わないモノで倉庫の様になっている.冷暖房が効かず
夏暑く冬寒い家に住んでいる.大きな居間があるのに子供が部屋に籠もりきり
でいつ外から帰ったかわからない.

この様な家と家族の間の問題は設計の質,プランニングの質が低いために
起こることも多いと考えられます.もう少し設計の質を上げられれば家族の人数や
将来の変化に対応が効いたり,家族間の関係が潤いのあるものになったりと,
家族の精神的健康に対して家が持つ影響力は予想以上に大きいと実感しています.