東京で働くご夫妻が両親と暮らすために
建てた木造2階建ての2世帯住宅.
実家の古屋を取壊し,元々庭にあった
キンモクセイやドウダンツツジ・ツバキなども
新たに造られた庭に移植された.

玄関から道路までの距離が近い分,
道路沿いに雁行した塀の間を
鉤型に折れてアプローチする.

ポインターを写真に載せると
アプローチの様子に変わります.
アプローチ写真:オーナー撮影

施工/近藤建築 棟梁/近藤 譲
造園/青木作庭舎 伊藤 達
玄関前に長さ3間の回廊を設けている.
道路からの引きがない分,扉を奥に見せ,
玄関前に人を迎えるための一瞬の
「暗がりと静けさ」をつくりだしている.

回廊は玄関庇としてだけでなく駐車スペースとの
往来や自転車置場として使っている.
また,道路と家を隔てる心理的な役割も大きく,
1階にあるご両親世帯の生活スペースを
もう一枚の壁で守っている.
玄関内から外を見る.床は天然スレート張り.
左手はクローゼット.

ポインターを写真の上に載せると
アプローチ見返しの様子.

玄関から広間へ下りる.

敷地には元々80cmほどの高低差があった.
この高低差を利用して家族が集まる広間の気積を
大きくしている.天井の一番高いところで3.49m.
下の写真は玄関から入る小さな仏間.
広 間
天井は低いところで2.48m,高いところで3.49m.
奥の障子は引き込みになっており,
南西に向かってテラスがある.
食堂は左上にあり,ソファ裏の壁上で空間的に
連続している.

ソファ:arflex/sona
食 堂

広間から緩やかな階段を上ると
大きなダイニングテーブルがある.
テーブルに居る人からは広間の様子は覗えても
ソファにいる人は隠れて見えない様にしてある.

下に重ねた写真はダイニングテーブル.
左手にキッチンがある.
台 所

シンクはダイニングテーブルと向き合っている.
1階の大きな切妻屋根の下に広間・食堂と台所を
同居させている.

互いに気配を感じながらも,広間と食堂に居る家族が
それぞれに落ち着きを得られる様に,敷地に元から
あった80cmの高低差を使い,一体感を保ちながら
緩やかに仕切っている.

シンクの食堂側はカップボードにしてある.
下に重ねた写真はシンクに立って左手を見る.
レンジのあるユニットは基材のシナを墨染めしたもの.
引手はチーク材削り出し.
家具製作/深津木工 深津 悟
通り抜ける台所

2世帯で台所を使うので二人以上で
調理・配膳をすることも多くなる.
一方は玄関から食品庫を抜けて,他方は
広間・食堂から人が集まり、抜けられる様になっている.
2階には建て主夫妻の寝室・書斎・子供部屋
などがある.
写真は書斎の様子.階段の後ろへ廻り込む
形になっている.北窓から入る光が美しい.
住まいの中に自分だけの部屋が持てるのは,
幾つになっても嬉しいものです.

下に重ねた写真は階段.段板・手摺共タモ材.
壁には様々な形のニッチが設けられいる.

炎天下を歩くと木陰に入って休みたくなるのと
同じで, 家も周囲に遮るものがなく
直射光が眩しく感じる
環境では軒を深くして常に建物に陰を纏わせ,
室内も少し暗めにしておきたくなります.
そうすることで窓の外の風景は美しく見え,
家の中にある物に深い陰影が生まれます.

下の写真は2階主寝室
ラワン合板の勾配天井はこの家の屋根を
そのまま内部に映している.
床はサイザルカーペット敷き.