2021/04/05
「泡」出版になりました。
私は本を読むことも趣味の一つなのですが、この一年(コロナ紀になって)は本から離れた気がします。 とはいえ、昨年秋 本屋で 「すばる 10月号」の表紙に松家さんの名前と小説名があるのを見つけ、早速求めました。 それが 本となった 「泡」 (4月5日刊行される)、 です 。
夏の暑い海辺の街で、大人になる手前の焦れた男子の様子が映像になって頭に入ってくる小説でした。私の表現力ではお伝え出来ないのがもどかしいけれど、とてもきれいな小説です。
松家さんの小説は、処女作の「火山のふもとで」以来読んでいます。
というのも、 「火山のふもとで」 のお手伝いをさせていただいたからです。まだ原稿だった文章を読み、設計事務所設定の 内容に 違和感のあるところはないか、そのころ所員だったヤマダクンと3人で其々検証することになったのです。
この小説の設定はなんとも贅沢で、もしかしたらレーモンド事務所の「夏の家」ではこんな話もあったのかな?とは思いましたが、 私が知る吉村順三事務所や先輩の事務所では、小説にあるような 「夏合宿」は営んでいませんでした。また、ガルバリウム鋼板という板金は当時はまだ無かったと伝えました。
読後、設定の夏の家のプランを3人それぞれで描いてみました。間取りと構成が三人で微妙に違っており、読書力のなさなのか、私たちの理解力のなさなのか、言葉で建築を説明するのは難しいものだと面白く思いました。また、この小説を映像化するとしたらとどんな役者でどんな監督が合うか、お茶の時間に花を咲かせました。
さて、そもそも何故そんなことを依頼されたのか。
それはレミングハウス所員時に松家さんの家の担当だったご縁でしょうか。
新建築 住宅特集に掲載された 誌面
もう、バックナンバーは無いそうです。
「僕、これを学生時代に買いましたよ」と言ってくれた建築家がいましたっけ。
この家の担当を最後にレミングハウスを退社しましたが、これまでの仕事の力になった掛け替えのない作品です。
さて、今度は「泡」の映画化の妄想にアトリエのみんなを巻き込もうっと。