2019/12/06
物の価値
先日大磯の現場に行く途中、「カイ・フランク展」を見てきました。ヘルシンキの骨董雑貨店を廻った際、カイ・フランクのキルタシリーズのティーポットを手に入れたことをきっかけに気になっていたプロダクトデザイナーです。
展示に、1960年代彼がアートディレクターを務めたガラスブランドで、製品にデザイナー名を刻印しないことを主張したとありました。
ものづくりとはデザイナー個人でなくチームで行うものであり、製品を使う場面においても誰がデザインしたかは関係ないから、というのが理由らしいです。そして、人々の日常で長く使われ、必要とされるためにあるということも言っているそうです。
柳宗悦、濱田庄司らの民芸運動にも通じますね。
1956年初来日の際、民芸運動の牽引者・濱田と 運動に批判的だった北大路魯山人を訪ねたとありました。対極の立場の二人にどんな感想を持ったのでしょう。
こどもの頃、家族で益子の陶芸家のところで陶器を作らせてもらったことがあります。自信ありげな父の皿でもなく、絵画教室での経験があった私の椀でもなく、自信が無いからと手びねりで作った母の一輪ざしを陶芸家のもとを訪れた人が、求めたそうです。陶芸家の作品と間違えるはずの無い、不恰好な一輪挿しに価値を感じた人がいたことを不思議に思った記憶があります。
私たち個々が持つ自分の価値感の秤、どこで作られるんでしょうね。